「本当に俺だけが生きているという今の状況は考えていませんでした。でも、自分がどうやって死ぬかってことも考えていなかったんだね。死ぬ気はあったんだけど……。仕事で使っていた大きな包丁があったんです。もう何年も使ってないから、かなりボロボロだった」
記者の目の前で、仰向けになるジェスチャーをする吉田さん。刃物を持って、自分の首に刺す動作をする。
「こうやって。やっぱり力が入んねえんだろうな。(刃物が)でっけえからダメなのか。小さい刃物でこうやった方が良いかなとかね。血だらけにはしたくなかったしな……」
結局死ぬことはできず、丸一日以上、吉田さんは死亡した節子さんの傍らで過ごしたとみられる。現場では、多くの一升瓶が空いていたという。
「安心すこやかセンター(行政の高齢者支援窓口)の係員の人が来たんだけども、全然俺んちの応答がないから、神奈川に住んでいる妹のところに電話を入れたんです。妹はうちに何度も電話したけど、俺は出られなかった。最終的に、警察に電話して警察官が2人来ました。