社交ダンスをしていたという節子さん

社交ダンスをしていたという節子さん(吉田さん提供)

「頼ることが大事なんです。今は本当にそう思います。結局ね、高齢者の相談窓口で受けられる支援も、こっちで拒否しちゃった部分もある。周りの支援を100パーセントこっちが利用したかって言うとさ、そうじゃないんだよね。

 人間誰でもさ、プライドってあるよね。プライドってのは必要だけども、それが見栄になったら、しょうがないわけだよね。どっかでね、見栄張ってたのかなって思うね。これ以上はみっともないとか、見せたくないとか……」

 取材の終盤、吉田さんは節子さんとの守れなかった約束を話してくれた。

「まだ元気だった時に、死んだ時はこうしようとか、そういう話をしていました。あいつのいちばんの望みはね、海洋散骨だったんです。ヘルパーさんと笑ったんだけどね。なんでか本人に聞いたらね『世界中行けるし、最後は竜宮城に行くからいいよ』って。意外とロマンチックなんだよ。

 あとね、死んだ時には棺にタオルを入れてくれって。でもその頃、俺は、警察にいて何もできなかった。天国で節子に会えたら『ごめんね』って言いたいです。謝りたいです。どうしてなのか、節子は夢に出てこないんです」

 今後はどうするだろうか。

「俺は殺人犯です。近隣の人にも迷惑をかけた。でも、裁判にまで来てくれて応援してくれる人もいるんです。だからここで一人で住んで、できることをやろうと思います。女性が多くて、こんな年の俺でも役に立てることはあるんです。

 シルバー(人材センター)の友人とも刑が確定したら、麻雀しようって誘われていて。これからは周りの人を頼って生きていきます」

 節子さんの仏壇に供えられた大きな白いユリの花。目が見えなくなっていった節子さんだったが、白いユリの花だけはかろうじて見えたため、通院の際によく2人で買っていたという。ユリの花の前で、今後の人生についての展望を話す吉田さんは寂しそうな表情を何度も見せていた。

(了。第1回から読む

関連記事

トピックス

交際中の綾瀬はるかとジェシーがラスベガス旅行
【全文公開】綾瀬はるか&ジェシーがラスベガスに4泊6日旅行 「おばあちゃんの家に連れて行く」ジェシーの“理想のデートプラン”を実現
女性セブン
幕内優勝力士に贈られる福島県知事賞で米1トンが
「令和のコメ不足」の最中でも“優勝したら米1トン”! 大相撲優勝力士に贈られる副賞のコメが消費される驚異のスピード
NEWSポストセブン
「学園祭の女王」の異名を取った田中美奈子(写真/ロケットパンチ)
田中美奈子が語る“学園祭の女王”時代 東大生の印象について「コミュニケーションスキルが高く、キラキラ輝いていた」
週刊ポスト
愛子さま
愛子さま、日赤への“出社”にこだわる背景に“悠仁さまへの配慮” 「将来の天皇」をめぐって不必要に比較されることを避けたい意向か
女性セブン
羽生結弦(時事通信フォト)の元妻・末延麻裕子さん(Facebookより)
【“なかった”ことに】羽生結弦の元妻「消された出会いのきっかけ」に込めた覚悟
NEWSポストセブン
目覚ましテレビの人気コーナー「きょうのわんこ」(HPより)
『めざましテレビ』名物コーナー「きょうのわんこ」出演犬が“撮影後に謎の急死”のSNS投稿が拡散 疑問の声や誹謗中傷が飛び交う事態に
女性セブン
シャトレーゼのケーキを提供している疑惑のカフェ(シャトレーゼHPより)
【無許可でケーキを提供か】疑惑の京都人気観光地のカフェ、中国人系オーナーが運営か シャトレーゼ側は「弊社のブランドを著しく傷つける」とコメント 内偵調査経て「弊社の製品で間違いない」
NEWSポストセブン
神田正輝の卒業までに中丸の復帰は間に合うのか(右・Instagramより)
《神田正輝『旅サラダ』残り2週間》謹慎中のKAT-TUN中丸雄一、番組復帰の予定なしで「卒業回出演ピンチ」レギュラー降板の危機も
NEWSポストセブン
小泉進次郎氏・滝川クリステル夫妻の出産祝いが永田町で話題
小泉進次郎夫妻のベテラン議員への“出産祝い”が永田町で話題 中身は「長男が着ていたとみられるベビー服や使用感のあるよだれかけ」、フランス流のエコな発想か
女性セブン
稽古は2部制。午前中は器具を使って敏捷性などを鍛える瞬発系トレーニングを行なう。将来的には専任コーチをつけたいという
元関脇・嘉風の中村親方、角界の慣習にとらわれない部屋運営と指導法 笑い声が飛び交う稽古は週休2日制「親方の威厳で縛らず、信頼で縛りたい」
週刊ポスト
柏木由紀と交際中のすがちゃん最高No. 1
《柏木由紀の熱愛相手》「小学生から父親のナンパアシスト」すがちゃん最高No.1“チャラ男の壮絶すぎる半生”
NEWSポストセブン
今年8月で分裂抗争10年目を迎える。写真は六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
「宅配業者を装って射殺」六代目山口組弘道会が池田組に銃口を向けた背景 「ラーメン組長」射殺事件の復讐か
NEWSポストセブン