タレントのフワちゃんがXに不適切投稿をしたことで炎上し、番組の休止や広告動画が非公開となるなか、問題の投稿の対象となった芸人のやす子へ直接、謝罪したことが伝えられた。だが、削除されたとはいえ全世界から見えるXに投稿された極めて不適切な文面は、フワちゃんと直接の関わりがない人たちにも、とくに「いじめ被害」経験がある人たちにとって、つらい記憶と感情を呼び覚ますきっかけとなってしまったようだ。人々の生活と社会の変化を記録する作家の日野百草氏が、あまりに気軽に使われる不適切な言葉が「いじめ体験者」たちに与える影響についてレポートする。
* * *
「いじめの典型的なやつですよ。お笑いっぽく『お願いだから、早く死んで~』とか、ノリっぽく周りを巻き込む感じでイジるんです」
中学時代にイジメを経験したという大手IT系企業に勤める男性会社員(30歳)は、自身の体験からタレント、フワちゃんがやす子さんに対してX(旧Twitter)でポストした投稿について語ってくれた。
「ノリで『こいついじめてやろうぜ』ってイジる空気を作るんですよ。その空気にまわりも『こいついじめていいんだ』となったら地獄です。経験者は多いと思いますよ」
そのフワちゃんの投稿は以下の通り。
〈おまえは偉くないので、
死んでくださーい
予選敗退でーす〉
実際は絵文字で飾られたこの文面、投稿はすぐに削除されたが見つけた他のユーザーが画像にして拡散、やす子さんの知るところとなった。やす子さんは、
「とっても悲しい」
とだけ投稿した。
そもそもやす子さん、以下の内容を普通にポストしただけであった。
〈やす子オリンピック
生きてるだけで偉いので皆
優勝でーす〉
これに対するフワちゃんの返信が先の不適切きわまりない文言だった。やす子さんのとても優しい素敵なポストにこの言葉、まして二人のやり取りでもない。あまりの理不尽さに当初は乗っ取りなども疑われたが、乗っ取りでもなく裏垢も持っていないと事務所およびフワちゃん本人が弁明している。つまり、普通に自分の言葉として直球でぶつけたことになる。
のちにフワちゃんは「これにアンチコメントがつくなら。」といった趣旨で作ったものを誤ってポストした、と弁明したがまあ、それは真偽も含め多くの方々の判断に委ねるしかない話のためいまは措く。
それでも、その言葉はやす子さんに届いてしまった。多くの人に、届いてしまった。これは事実だろう。