警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、暴力団幹部が語る職務質問体験について。
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こういうことはよくあることと、指定暴力団のある幹部が話す。車で走行中、パトカーに交通違反?で停められたのだが、完全な違反ではなかったようだ。停められた理由は別にあった。
片側二車線の道路、前を走るバスが交差点前の停留所で停まったため、幹部は追い越そうとウィンカーを出した。だが後方からパトカーが来るのが見えたので、一瞬ハンドルを切り返した。「それがいけなかった」と幹部は笑った。ウィンカーが消えてしまったのだ。彼はそのままバスを追い越した。
赤信号の交差点、横にパトカーが並び、助手席の警察官がじろじろと幹部を見ていた。「嫌な予感がしたが、前を向いていた」という幹部。その予感は的中する。青信号で発進すると、「紺の○○の運転手さん、左に寄せて停まって下さい」とマイクで呼び止められたのだ。こうなれば応じるしかない。数メートル走り、幹部は車を道路脇に寄せて停車した。
警察官が2人、車に近づく。コンコンと窓を叩かれ、素直に窓を開けた。経験上、こういう時は無駄に反抗してはいけない。
「困りますねぇ、運転手さん。ウィンカー出してませんよ」といわれ、「パトカーが見えたので切り返したら、消えちゃっただけですよ。きちんと出しました」と落ち着いて答える。語気荒く反論するのは禁物だ。
先輩らしき警察官は幹部の顔を見た後、窓に顔を近づけ車の中を見回した。その瞬間、ピンときたと幹部はいう。
「運転免許証を出してください」と先輩警察官。
「違反なんかしてませんよ」と答えると、「違反じゃありません。免許証を」。
やっぱりだ。ウィンカーは車を停めるためのきっかけに過ぎなかった。ヤクザを捕まえたい時、とりあえず別件の容疑で逮捕するのは警察の常とう手段の1つだ。
「あぁ、職質ですか」と幹部。
「そんなものです」と先輩警察官
顔を見て、職務質問したほうがいいと判断されたのだ。ヤクザも年季が入れば、醸し出す雰囲気も風貌もそれなりに変わっていく。
「このクソ暑いのに、外には出ませんよ」と応じた幹部。職質となれば話は別だ。違反で切符を切られることはないだろう。法律上、職質は拒否できるが、ヤクザが拒否すれば面倒になるだけだ。都心でも真夏日になったこの日、日光が照り付ける場所は40℃近かった。