大使の視線は、幼い娘さんたちの将来にも向いている。
「ジョージア語と日本語を使う彼女たちが、私が直面したような壁や悩みにどんなふうに出くわすかはやはり気になります。でも、ある程度楽観的にとらえてはいます。自分ほど苦労はしないんじゃないかな、と。親の経験が参考になると思うし、今は昔よりグローバルな世界になっている。それぞれのアイデンティティや独自の文化が尊重されて、再評価されるような世の中になりつつある。
もちろん、今は想像し得ない別の問題が3人の前に立ちはだかるかもしれない。でも、きっと大丈夫。その都度解決しながら生きていけると思います。それが人生というものですから」
(了。第1回から読む)
【プロフィール】ティムラズ・レジャバ/ジョージア出身。1992年に来日、その後ジョージア、日本、アメリカ、カナダで教育を受ける。2011年9月に早稲田大学国際教養学部を卒業し、2012年4月キッコーマン株式会社に入社。退社後はジョージア・日本間の経済活動に携わり、2018年ジョージア外務省に入省。2019年に在日ジョージア大使館臨時代理大使に就任し、2021年より特命全権大使。
◆取材・文 北村浩子(きたむら・ひろこ)/日本語教師、ライター。FMヨコハマにて20年以上ニュースを担当し、本紹介番組「books A to Z」では2千冊近くの作品を取り上げた。雑誌に書評や著者インタビューを多数寄稿。