羽田も機能停止
富士山が噴火した場合、被害は計り知れない。まず、噴火直後に襲ってくるのは「噴石」だ。
「噴火によって様々な大きさの岩の塊が放出され、上空から猛スピードで降ってきます。直径1m以上の大型の噴石が火口から2kmほどの範囲まで飛んでくる。噴石は屋根や壁を貫通し、建造物を破壊します。人間に当たれば死亡するケースもある。2014年9月に起きた御嶽山の噴火では60人近い登山客が犠牲になりましたが、多くの命を奪ったのは噴石でした」(鎌田氏)
夏の時期、多くの登山家や観光客で賑わっているだけに、深刻な被害が懸念されるわけだ。
噴石は静岡県、山梨県に留まるとされているが、高温のマグマが液体のまま地表に流れ出る「溶岩流」はより広範囲に及ぶ。
「富士山火山防災対策協議会」は、2021年3月、噴火時のハザードマップ(火山災害予想図)を2017年ぶりに改定。想定される溶岩の噴出量は約2倍に増えた。2004年版のハザードマップでは溶岩流の到達範囲は静岡県と山梨県だけだったが、2021年版では神奈川県の相模原市や小田原市まで到達するとしている。
「溶岩流は最短2時間15分で東名高速に到達するとされている。そうなれば東西を結ぶ日本の大動脈が分断されます」(同前)
最も被害が広範囲に及ぶのは「火山灰」だ。