図の通り、火山灰は千葉県や埼玉県まで到達し、富士山周辺地域では50cm以上、東京や横浜でも2~10cm降り積もる可能性があるという。
「上空には偏西風が吹いているので東へ飛んでいくのが普通ですが、夏は風向きが変化しやすいので、全方向に散るでしょう。火山灰というのは、いわば“ガラスの破片”です。吸い込むと器官や肺が傷つけられ、呼吸困難や肺気腫を起こすケースもある。目に入れば角膜が傷つけられます。
現代のハイテクノロジー社会にも大敵です。細かな火山灰の粒子が電子機器やコンピューターに入り込んでしまうと正常に作動しなくなり、通信や金融など様々な産業に打撃を与えます。道路上に1cm積もるだけで車の運転も不可能になる。富士山の東には羽田空港などがあるので、火山灰の量次第では空路が利用できなくなる可能性もあります。そうしたリスクがあるということを頭に入れておかないと、有効な対策を講じることはできません」(同前)
リスクは地震だけではないのだ。
※週刊ポスト2024年8月30日・9月6日号