小手川氏が退官した後も、2人の関係は続いた。
2022年9月、「株式会社安全保障産業強化機構」という会社が設立され、翌年1月に小手川氏は同社の会長に就任している。同社の取締役で、都内のコンサルタント会社社長の松本洋氏は、設立の経緯をこう話した。
「近年、ドローン技術など軍と民のデュアルで日本が中国などに後れを取っている分野があるが、もともとは日本の技術で、日本メーカーのエンジニアが破格の条件で中国に引き抜かれ、技術流出した結果です。安全保障産業強化機構はそれを防止し、日本の技術を守るために立ち上げたファンド。小手川君とは東大法学部時代からの友人で親しくしている。私とは問題意識を共有していて、会長をお願いしたのです」
小林氏も会社設立を歓迎したという。
「小林さんは小手川君が財務省時代に上司と部下という関係で、『私が可愛がっている政治家がいるから』と紹介された。小手川君には人を見る目があり、彼が優秀な人材だと認めたのが小林さんなのです。民間のファンドですから、政府から何か支援を受けるということはありませんが、会社を設立してから、私と小手川君、小林さんで会合し、会社設立を報告したら、小林さんは『おお、いいじゃない』と歓迎してくれました」(同前)
小手川氏に寄附の理由や小林氏との関係について尋ねると、こう答えた。
「小林さんとは、(財務省時代に)一緒に働いていた。その彼が、財務省を辞めて政治家を目指すとして、私のところに来て、本当に土下座をして、支援をしてほしいとお願いしてきた。それから月に25万円を献金している。身近にいた人から助けを求められたから出しただけで、何も見返りなどを求めているわけではないし、やましいことはない」