消費増税派の元大物次官も
もう一人、財務省の大物OBが小林氏に寄附していた。毎年10万円、3年間で30万円を寄附しているのが丹呉泰健・元財務事務次官だ。退官後、読売新聞グループ本社監査役、安倍内閣の内閣官房参与などを務めた後、「財務省OBのドン」が就くポストとされる日本たばこ産業(JT)会長を務めた。現在も社外取締役を務める大垣共立銀行を通じて丹呉氏に質問しようとしたが、「こちらから(丹呉氏に)お繋ぎすることはできません」(広報部)との回答だった。
財務省取材が長いジャーナリストの長谷川幸洋氏(元東京・中日新聞論説副主幹)は、「この2人の財務省OBが小林鷹之氏に献金している意味は大きい」とみる。
「丹呉氏と言えば財務省応援団として安倍政権に消費税引き上げを求める論調を取った人物。小手川氏は“財務省の広報局長”と呼ばれ、これはという記者を見つけると自分が主催するワインの会に入れて関係づくりを進め、懐柔してきた。その2人の支援を受けているということからも、小林氏が財務省直系の政治家と見ていいでしょう」
さらに、小林氏の政党支部には、財務省の外局である国税局OBからの献金もあった。小林事務所に聞くと、「職場の先輩としてお世話になったご縁で、継続的に私の政治活動をご支援頂いています。特に見返りを求められたことはなく、頂いた献金については法令に則って適正に処理しています」と文書回答した。
岸田政権は財務省と足並みを揃えて防衛増税など国民の負担増政策を進め、岸田首相は“増税メガネ”と揶揄された。小林氏が総裁選に勝利すれば、“財務省お抱え総理”が誕生し、財務省主導政治が続く懸念が拭えない。
出馬会見に同席した24人の議員の顔触れを見ても、世襲議員の多さが目立つだけでなく、財務省出身の小森卓郎氏や経産省、総務省OBら官僚出身者が6人を占めた。
自民党を刷新するには足かせが多そうに見える。
※週刊ポスト2024年9月13日号