政策協定で「騙された!」
【小泉純一郎vs橋本龍太郎(2001年)】
自民党内で「変人」と呼ばれた小泉純一郎氏が、野中広務・元幹事長や青木幹雄・元参院自民党幹事長らが属する最大派閥・橋本派を率いた橋本龍太郎・元首相を破って劇的な勝利を飾ったのは2001年総裁選だ。
小泉氏はそれまで2回総裁選に出馬して惨敗し、“勝てない総裁候補”と見られていた。そんな小泉氏を急浮上させたのは国民に人気のあった田中眞紀子氏(当時は自民党代議士)だった。
父の角栄氏を裏切った橋本派に恨みを持つ眞紀子氏は、橋本氏の対抗馬だった小泉支援に動くと、総裁選の街頭演説では大勢の聴衆を集めて「眞紀子旋風」を起こした。追い風を受けた小泉氏は「自民党をぶっ壊す」と演説し、党員投票で9割もの票を得た。
当時、本選出馬を辞退して小泉支持に回った亀井静香氏が語る。
「あの時は間違いなく小泉は眞紀子の人気で勝った。まだ小泉が国民に人気があったわけじゃない。眞紀子だよ。
俺も眞紀子に推薦人になってもらおうと『助けろや』と頼みに行ったんだが、眞紀子は『昨日、純ちゃんに頼まれて、約束しちゃったから』と断わられたんだ。
本選出馬を辞退したのは小泉の選対をやっていた塩爺(塩川正十郎・元財務相)に『清和会(森派)から2人出るのはよくない』と頼まれたからだ。オレも清和会だったからね。条件として、小泉と政策協定を公式に結んで小泉政権で実施することを約束したんだが、総理になると『そのうちやるよ』と言うばかりで協定を結んだ政策に取りかからない。
結局、騙されたんだが、政治は結果だから騙されたオレが悪い。思い出すのも腹立たしい」