「お客様から米不足だ、大変だとお話いただくこともありますが『そんなことはありません、もうすぐ解消されますよ』と言ってはいるんですけどね。新米も続々入荷しますが安くはできませんね。しばらくは、これまでのような5キロで2000円を切るようなブランド米を出すことはないと思います」
断っておくがこの一部マスコミも報じる「米不足」やら「米騒動」。地域によってかなり異なる反応で、筆者の取材した限りも都内や関東近郊、地方でも都市部などで売り切れが続出するなどかなりの偏在が見られる。逆に後述するが「それ日本の話?」といった反応の地方もあった。
筆者の旧知の食品専門商社のバイヤーは「業界で聞いた話」としてこう語ってくれた。
「外食チェーン、とくに牛丼チェーンに『お前のところが買い占めているんだろう』『そんなに米があるのはおかしい』という意見が届いていると聞く。当たり前の話だが外食チェーンなどの米と一般小売りの米では経路が違う。事前契約で確保しているので米が足りないことはない、というだけだ。大手のほとんどは不作の予想が出た今年すぐ米の追加確保に動いた。それも小売りにまわる米とは別だ。冷静になってほしいと思う」
SNSに詳しいIT系企業の編集者もこう語る。
「SNSには『大手商社が買い占めて横流ししている』『農協が値段を釣り上げるために米を売り惜しみしている』といったデマが拡散されています。もちろん政府批判と絡めている。意見はさまざまだし自由ですが、憶測に基づくデマはだめでしょう。とくにXはひどい。インプレッション目的でこれでもかと陰謀論を撒き散らしている」
城東、都内のコンビニエンスストア社員は実際に客から言われたと話す。
「ご高齢の常連さんですが、おにぎりを指して『こんなに米があるのはどうして?』と聞かれましたね。本部が事前契約しているから供給できるだけですが。うちでも以前から2キロとかの小さい米は売っていましたが入る途端に売れます」
米の値段を言うと「高い」「負けろ」
都市部でも米屋に行けばある。地方に至っては「米不足?」であった。東北の一家6人家族、二児の母である40代女性の話。
「東京や大阪は大変ってニュースで見ますけど、米不足とか米騒動とか遠い場所の話です。『令和の米騒動』なんて大げさな。値段は上がってますけど米がないなんてこの辺では聞いたことがないです。それにこの辺りは米農家も多いですから、自分たちで作って消費している家庭も多いですし、そういう方々と馴染みでずっと買っていたりもします」
実際、北関東の米農家(兼業)は「米を売ってくれという連絡はある」としてこう話す。