ドラマはあくまでもフィクションが原作なので、実際の事件とは異なる部分も多いです。例えば、綾野剛さんが演じた地面師被害に自らも遭っていたという地面師はいませんし、リリー・フランキーさんが演じた事件発生前に一味を捜査して殺害された捜査員は、私が知る限りはいません(笑)。ただ、被害企業で社長と会長による派閥争いが行われていたことが事件の背景にあったことや、詐欺に使用された土地の所有者が“売却の意思がない独り身の女性”であることなど実際の事件と重なっている部分も多く、楽しくドラマを見ることができました」(元警視庁捜査2課担当記者)
今回筆者が入手した事件の真相が書かれた未公開の「秘密文書」を紐解いていきたい。
〈本件は、不動産を専業とする一部上場企業が、55億5000万円という、史上最大の地面師詐欺被害にあったということである。また、被害金が裏社会に流れたと推定される。大手金融機関が振込詐欺で甚大な被害を受けるのと同じで、通常起こり得ないことであり、絶対にあってはならないことである〉
全16ページの報告書はこのような書き出しで始まる。