作成者は、一連の問題発覚を受けて立ち上がった「積水ハウス」社内の調査対策委員会だ。メンバーは同社の社外監査役や社外取締役らで、当時の和田勇会長が主導した調査委だった。報告書は、地面師グループの摘発によって事件が世に明るみに出る前の2018年1月に作成され、同社の取締役会に提出されていた。筆者が入手したのは、その元となった「素案」だ。
調査委は、2017年9月~10月19日に、直接の取引や社内の意思決定に関わった同社の「東京マンション事業部」の部長や役員、支社長をはじめ、当時の阿部俊則社長、和田勇会長ら25人に聴取していた。ドラマで山本耕史が演じていた被害会社の関係者らだ。
「地面師詐欺の舞台となったのは東京・五反田にあった『海喜館』という旅館でした。すでに閉業したその旅館には、年老いた旅館主の女性がひとりで暮らしており、不動産業界では〈入札ならば80億円から100億円と噂された物件〉として有名だったとされています。ドラマでは寺でしたが、独り身の尼さんが住んでいたところはよく似ていますね」(前出・元2課担)
報告書によると、「積水ハウス」が問題の取引に関わったきっかけは以下のようなものだったという。