「社長に事件の累が及ばないように、というのが一番の理由でしょう。積水が報告書の原本をひた隠しにしてきたのは、社長の経営責任を明確に問う記述があったためだと考えていい。報告書そのものを葬り去ることはできないため、最も問題となる部分を削除した上で公開に踏み切ったというわけです」
この報告書が公開された際に、当時の社長は、前会長を追い出し、自らが会長になっていたのだ。
ドラマ『地面師たち』の世界的なヒットで再び注目を集めている「積水ハウス地面師詐欺事件」。事件を巡る「秘密文書」は、巨大企業が見舞われた詐欺事件の舞台裏で繰り広げられた暗闘の記録も記されていた。
(了。前編から読む)
◆取材・執筆/安藤海南男