1965年に、劇団「新国劇」に入団し俳優デビューした若林豪さん(85)。舞台からドラマ、映画へ幅を広げ、活躍を続けた。2008年、68歳のとき、舞台出演中に慢性硬膜下血腫で倒れる悲運もあったが、見事に復活。近年も映画や舞台で活動を続ける若林さんの、老いの受け入れ方、家族のこと、そして自身の思い描く終幕とは──。【前後編の後編。前編から読む】
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役者として60年近くやってきて、『赤い霊柩車』シリーズがもっとも長い期間演じたことになります。当然、時の流れとともに共演者はみんな老けます。監督は僕らに「若々しくいてほしい」と言うから、僕と神田君も白髪になってからは染めて、僕は髪が薄くなってからはメイクさんにハゲ隠しをポンポン振りかけてもらっていました。「後ろだけ、ちょっとふりかけて」と言ったら、食べる“ふりかけ”と間違えたメイクさんがいて笑いましたが(笑)。
そんな薄毛対策をするのは、『赤い霊柩車』のときくらいでした。ほかの作品は何もしていません。だって、僕はもう今年85歳。髪が薄くたっていいじゃない。まったく悩まない。ショーン・コネリーはハゲていても格好いいじゃないですか。だから、僕も鏡を見て「薄くなってきたな」と思ったときに「よーし、オレもハゲたぞ!」って。逆らわずに受け入れました。