「みなさんが想像するような環境ではない」
プロや大学での実績がない18歳が渡米するとなれば、メジャーを頂点とするピラミッドの最下層にあたるルーキーリーグから挑戦し、そこから1A、2A,3Aと駆け上っていかなければならない。マイナーは「ハンバーガー・リーグ」と揶揄されるように、軽食しか支給されず、バスでの長距離移動も多いだろう。
「実際に視察して、ルーキーリーグはアリゾナとフロリダの2箇所で実施されるので、移動はさほど大変ではないと思いました。食事に関しても……自分は問題ありません。トレーニング器具も豊富ですし、球場も美しくて、電光掲示板も設置されていました。たぶん、みなさんが想像するようなマイナーリーグの環境では現状はないと思います。厳しいとは思いますが、そこで勝負していくと決めました」
投手としては自慢の直球に加え、カーブ、スライダー、フォークを駆使し、左打席に入る打撃ではやはり飛距離が魅力だ。桐朋のグラウンドは右翼が87mしかなく、森井の当たりがネットをはるかに超えて奥のプールや茂みに飛び込んで一般生徒をヒヤリとさせたことも一度や二度ではない。練習試合を行った広島商業のグラウンドでは推定140mの特大弾を低反発のバットで放ったこともある。
投手か、野手(遊撃手)か。本人は米国でも二刀流を貫きたいと話す。
「投手としてはカットボールのような動くボールをアメリカを見据えて練習しています。自分の場合、ストレートがけっこうシュートするので、反対方向に少し曲がるカットボールが武器になるかなと。153キロという球速はアメリカでは……ふつうですよね(笑)。
高校時代に、ウエイトトレーニングはまったくやらなかったんです。いや、一度やってみたことはあるんですが、ヨガのインストラクターである母が自分の異変にすぐに気付いて、『やめなさい』と。(体が成長しきっていない)高校時代は筋力よりも柔軟性を大事にして、悪い動きになるトレーニングは止めておこうとなりました。アメリカでウエイトに取り組んで、10キロぐらい体重を増やせたら自然と球速は上がると思います。
バッティングに関しては、空振りをあんまりしないというのが特徴ですかね。バットにボールを当てる技術はあると思いますが、芯に当てる確率はまだまだ。そこを向上させないと上では通用しないと思います」