初演から20年、多くの演劇人によって再演されてきた舞台『片づけたい女たち』。高校時代からの女友だち3人が、50代半ばを迎えて抱く思いや痛み、悲喜こもごもをコミカルに描いた本作。登場人物と同年代となった3人を演じるのは、平成、令和と役者業と向き合ってきた女優の松永玲子さん、佐藤真弓さん、有森也実さん。本格的な稽古がはじまったばかりの某日。松永さん、佐藤さん、そして有森さんに、本作に対する思いや、それぞれの「片づけたい」エピソードを語ってもらった。話題はいつしか、プライベートへと脱線するのだった──。【前後編の前編】
──2004年の「グループる・ばる」による『片づけたい女たち』の初演から、今年でちょうど20年になります。この「20年」をどのように感じられていますか。
松永玲子(以下、松永):最初に本を読んだときは、ごく一部の単語を除き、特に時代の違いを感じることなく、シンプルにおもしろいと思いました。ただ、いざ自分が発する台詞として覚えはじめると、登場人物と同じ世代であるはずの今の私が、日常的には使わない単語がちょこちょこと出てきた。
──たとえば?
松永:私が演じる「ツンコ」の台詞で言うと、「サンキュー」とか(笑)。
佐藤真弓(以下、佐藤):確かに、私もサンキューは使わないかな。昔の「バ~イ」みたいな感じよね。
有森也実(以下、有森):ごめん……私、使うかも(笑)。