──20年前のご自身や、当時の世の中を思い返しましたか。
佐藤:実は、ちょうどその頃のことって、ほとんど覚えていないんです。今回、20年前のことを思い出そうとして、ぽっかり記憶が抜けていることに改めて気づきました。
有森:今回の本を読んでいても感じたのですが、やっぱり20年前と現在とでは、世の中全体の「がむしゃら感」みたいなものが違いますね。それこそ、朝まで飲むという遊び方もそうですし、仕事に対する熱さみたいなものも、「自分ファースト」な今とではまったく違うように感じます。
──本作では、登場人物3人の「50代半ば」という年齢が大きな要素になっています。初演の頃の「る・ばる」の3人(松金よね子、岡本麗、田岡美也子)と同様、現在のみなさんがまさに50代半ばを迎えているわけですが、日々の暮らしのなかで「50代」という年齢を感じたり、考えたりすることはありますか。
松永:朝、目が覚めたとき、自分の体の状態がどうなっているか、確認作業が必要になった(笑)。調子がよくなっている場合もあるけど、逆にどこかが悪くなっていることも。『寝たらリセットされる』というような睡眠神話は、もう通用しない。かつて、先輩方からそういった話を聞かされたときには、『またまた~、大げさに話を盛っちゃって~』なんて思ってたけど、ちっとも盛ってなかった(笑)。
佐藤:友人からの報せが、「子供が生まれた」ではなく「孫が生まれた」になってきた(笑)。あと、離婚をしたり考えたりする人も増えましたね。私たち演劇周りはともかく、一般的な人生を送っている人、特に女性にとって「50代半ば」というのは、自分のこと、これからのことを見直す年代なんだと思います。