いくら平日とはいえ、東京や大阪などの大都市の宿泊施設の予約が困難なことは想像に難くない。事前の下調べなしだった浪人生側にも非がないとはいえないが、都会だからホテルや旅館がたくさんあるだろう、という期待は、今やすべきではないのだ。
東京ドームでの試合観戦に埼玉のホテルを予約
いくら入念な事前準備をしても、結局「普通の日本人」が宿泊できる施設は限られているようだ。関西在住で、プロ野球の熱狂的なファンだという会社員の女性(30代)が嘆く。
「野球観戦の遠征で首都圏や、福岡、札幌にもよく行きますが、今まで1万円程度で宿泊できていたホテルが、どこも倍以上になりました。そして、仕方なく倍の金額を支払って宿泊したホテルは、どこもかしこも外国人だらけ。しかも円安だからか、彼らのほうが金払いもよく、ホテル側のサービスも、日本人には冷たく感じられるほどでした」(会社員の女性)
今年の夏以降は、宿泊費が倍増していたホテルの予約さえ困難になり、東京ドームでの試合観戦のため、埼玉県内のホテルを取ることもあったと振り返る。
「アホらしいと自分でも思いますよ(笑)。でも、都内で不自然に安いホテルや旅館に泊まるよりはマシです。以前、安いと思って宿泊したホテルは中国人の経営で、客もほとんど中国人。ネット予約では気がつきませんでしたが、日本語もほとんど通じず怖い思いをしました。ただ、最近は埼玉や千葉のホテルも高くなっていて、宿泊を諦め、試合終わりに夜行バスで帰ることもあります。コロナ禍前にも高い時期はありましたが、今は次元が違うと感じます」(会社員の女性)
ホテル難民が続出する、空き部屋不足の影響を一番モロに受けていると思われるのが、出張のあるサラリーマンたちだ。複数人に話を聞いたが、各人からは悲痛ともいえる訴えや怨嗟の声が漏れ聞こえる。都内在住の食品会社勤務の男性(50代)が、ほとんど吐き捨てるようにいう。
「出張時の宿泊代の上限が1万3000円と決まっているんですよね。でも、大阪でも福岡でも、こんな金額じゃ泊まれませんよ。だからオーバー分は自腹で、月に数万円の出費になっています。会社に言っても”もっと安い施設を見つけて”の一点張り。あり得ない、冗談じゃないと思っていますが、現状はそうするしかない」(食品会社勤務の男性)