松尾氏の著書『あなたの生きづらさ“昭和な呪い”のせいでした』では、読者がスムーズに内容を理解できるよう、コンテンツからインスパイヤされたマンガが随所に差し込まれている
「男だから気にすんな」
「ジェンダーギャップ指数の順位が日本は低いと話題にされる時、たいていの場合、女性への不平等をなくしていこうという意味で言われることが多いです。しかし裏を返せば、それだけ男性も生きづらさを抱えているということでもあります。
「男だから気にすんな」は男が細かいことにいちいち目くじらを立てるな、感情的にならずに受け流せという呪いの言葉ですね。人間誰しも感情を持つ生き物だし、男だからという理由だけで嫌なことがあってもクールに振る舞わなきゃいけないなんて、よく考えてみたらとても奇妙です。「マッチョ」というのは、強きょう靱じんさ、逞たくましさ、勇敢さといった男らしさを示す言葉ですが、「男なんだから」という言葉が暗に意味している男の規範や評価基準は、マッチョという言葉によく表れています。
「男子厨ちゅう房ぼうに入らず」もマッチョイズムな考え方に紐づいていますね。男は炊事などしないで仕事を頑張れという考えが根底にあるのでしょう。ハッキリ口に出して言わなくても、心の中でそう思っている人は(女性も含めて)少なくないのでは。何を隠そう昔の私も「キッチンは女の聖域」という呪いを固く信じていたぐらいなので(笑)」
○類似する呪いのフレーズ
「男なんだから我慢すべき」
「男子厨房に入らず」
「マッチョ」
「女子力が高いね!」
「女子力と聞いて真っ先にイメージするものは、合コンや飲み会でのサラダの取り分け!昔はサラダ取り分けが女子力になると信じられていて、合コンに参加した女性同士でどっちがサラダを取り分けるかでフォークを奪い合う事件も勃発したほどです。今では逆に「あざとい」って思われちゃうみたいですね(笑)。
女子力は明確な定義があるわけではなく、判断はまちまちです。外見だと、髪形やメイク、ファッション、お肌の手入れまで抜かりなくこなす。内面では決して出しゃばりすぎず、周囲へのきめ細やかな配慮も忘れず、それに加えて料理上手! 部屋はピカピカ! バッグの中がきちんと整理整頓されているのも大事なんだそうです。「ハードル高っっ!」と唸うなったのはおそらく私だけではないでしょう(汗)。全方位に完璧を求められるなんて、女子力ってまさに「無理ゲー」ですね。