17歳ルールにより、ハイレベルな戦いはジュニアの舞台へ
土田氏がポイントとして挙げるもう一つが、シニアの主要国際大会に出場できる年齢が上がったことだ。これまでは「15歳」だったが、昨年の段階的引き上げ(「16歳」)を経て、今シーズンからは「17歳」になった。17歳以上でないと、グランプリシリーズや世界選手権、オリンピックなどの主要国際大会に出場できなくなったのだ。
「ISUは『選手の心身の健康を守る』ために、年齢制限を引き上げました。これによって女子の選手寿命が延びることは期待できますが、一方、若くして台頭した選手は、ジュニアだけで戦うジュニア時代が長く続くことになります。
たとえば浅田真央さんは、14歳のときにグランプリファイナルを制して、一躍スターになりました。アメリカの国民的スターだったミシェル・クワンさんも15歳で全米選手権、世界選手権を制しています。女子のフィギュアスケートは、若い選手の活躍が見る者に鮮烈なインパクトを与え、ライトなファンを取り込んできたという歴史があったのですが、年齢制限の引き上げによって、こうしたドラスティックな展開は起こりにくくなるでしょう」
プログラムに組み込むジャンプの難易度で言えば、いま、日本選手の中でトップは16歳の島田麻央だ。トリプルアクセルと4回転を跳ぶ。ほかにもエモーショナルな滑りをする14歳の上薗恋奈など、ジュニア勢には次世代のスターがひしめいているが、17歳ルールによって彼女たちの国際大会デビューはしばらくない。そして島田は「17歳」に3か月満たないために、次のミラノオリンピック(2026年)に出場できない(五輪出場には、開催前年の7月1日時点で17歳以上がルール。島田は10月生まれ)。