4回転時代は終焉し、遅咲きの選手が初表彰台の快挙も
過去7回のオリンピックを振り返ると、フィギュア女子は、17歳以下の選手が、7回中5回の大会で金メダルに輝いている。17歳ルールは、長年続いてきた女子フィギュアスケートの在り方を大きく変えたと言えるだろう。
「これまで以上に、成熟・安定した技術と表現を競う競技になったと言えます。ですから、高難度ジャンプに挑戦する選手を見たいと考えるファンには物足りない面があるかもしれません。とくに日本には伊藤みどりさん、中野友加里さん、浅田真央さんらがつないできたジャンプの歴史がありますから。もちろん、今もトリプルアクセルや4回転ジャンプを跳び続けている選手もいますが、必ずしも高難度ジャンプがなくても勝てる競技になりました。そうなると、リスクをとって高難度ジャンプを跳ぶよりも、演技の質や安定感を追求する方向へシフトするようになるでしょう。実際、先の中国大会で、4回転ジャンパーの住吉りをん選手は、『勝つために』4回転を封印する決断を下しました。
一方、グランプリシリーズ(NHK杯)で初メダルを獲得した22歳の青木祐奈選手のように、遅咲きのスケーターが活躍するようになったのは、ISUのルール改正の狙い通りなのではないでしょうか」
北京五輪までの4回転時代は終わりをつげ、フィギュア女子は成熟・安定を競う時代へ。人気選手の競技引退のみならず、ルール改正や世界情勢によっても、フィギュアスケート競技は大きく変化している。