マスコミの報道の行き過ぎを指摘するのは、斎藤支持者に限らない。
神戸市に住み、MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店の特別渉外担当顧問である福嶋聡 (あきら・65)は、在阪の良識派の言論人として知られる。その福嶋は、斎藤の文書問題の対応には瑕疵があり、謝罪をかたくなに拒んだことは、県政トップとしての資質に問題がある、と指摘する。しかし、同時に、行き過ぎたワイドショーなどの報道には強い疑義を呈する。
「それほど情報を持っているように思えない人までが、嵩にかかったように斎藤氏を攻め立てる報道は不健全に見えました。もし仮に、咎を犯した人であったとしても、確証を持たない人までもが、総攻撃することには危うさを感じます。メディアには、どうすれば今後、元県民局長が亡くなるような不幸な出来事を繰り返さなくなるのか、という冷静な視点が必要だった、と思います」(福嶋)
【プロフィール】
横田増生(よこた・ますお)/1965年福岡県生まれ。ジャーナリスト。関西学院大学を卒業後、予備校講師を経て、アメリカ・アイオワ大学ジャーナリズム学部で修士号を取得。帰国後、物流業界紙『輸送経済』の記者、編集長を務め、1999年よりフリーランスとして活躍。2020年に『潜入ルポamazon帝国』で第19回新潮ドキュメント賞。2022年に『「トランプ信者」潜入一年』で第9回山本美香記念国際ジャーナリスト賞を受賞。近著に『潜入取材、全手法』(角川新書)。
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