「育てる力」の欠落
甲斐の獲得についても、疑問視する声があがる。すでに岸田行倫(28)、小林誠司(35)、大城卓三(31)の3人がいて捕手は飽和状態ではないのか。阪神、大洋でマスクをかぶり、コーチ経験もある辻恭彦氏はこう語る。
「甲斐を獲っても失敗すると思います。体がスマートになって力が出なくなったように見えるし、1年を通じてマスクはかぶれないでしょう。ソフトバンクより力が劣る巨人の投手陣をうまくリードできるかも疑問。上背のない甲斐の細かな動きに巨人の投手陣が適応できるかも不安要素です。
今季の岸田を中心にした3人体制は十分に面白かったと思う。もちろん、甲斐が岸田のカバー役になるなら最高ですが、そんな構想ではそもそも巨人に来ないでしょう」
一方、巨人OBで投手コーチも務めた関本四十四氏は、「来季以降への危機感があるのは理解できる」と話した。今季、メジャーで世界一に輝いたドジャースは大谷翔平(30)を含むMVP級の戦力をかき集め、シーズン中もポストシーズンに向けた補強を重ねて勝ち上がった。
「そういう野球を見た日本のファンも、大型補強に必ずしも否定的ではなくなっていると思います。それに坂本勇人(35)や丸佳浩(35)ら主力が高齢化して、岡本は来オフにメジャー挑戦する可能性がある。キャッチャーについても来季は主力投手の菅野智之(35)がメジャーに流出し、“スガコバ”のコンビを組んだ小林は、打率2割前後で使いにくい。今季がキャリアハイの岸田もまだ143試合は任せられないし、大城も期待通りの打てるキャッチャーには育たなかった。そういう現実を直視することも大切です」