新しい「社会派」の台頭
『82年〜』のヒットを機に「韓国の他ジャンルの小説も読んでみたい」という声が大きくなり、日本でも多彩な韓国の本が翻訳されるようになった。
その中で、いま韓国でもっとも“売れている”作家といわれるのが、チョン・セランさんだ。日本でも、ハン・ガンさんを上回る10冊以上の作品が出版されており、韓国文学の入門者も手に取りやすい。
「韓国国内では、いまSFやミステリー小説が活況なのですが、チョン・セランさんは、純文学からSFまで、ジャンルの垣根を越えたポップでエンターテインメント性の高い小説を発表し、数年先まで執筆予定が詰まっている超人気ぶりです。
無尽蔵の発想力を持ち、難しいテーマを難しく感じさせずに読ませる達人。スキルの高さを感じます」
若い感性による新しい「社会派」小説も注目だ。
「30〜40代の若手作家は、非正規雇用や不動産バブル、社会格差といった庶民の身近な社会問題を題材とした『ハイパーリアリズム』と呼ばれる小説を発表しています。会話主体でテンポよく読ませる手法のため、重いテーマでも読みやすいのが特徴です」
キラキラした韓流もいいけれど、韓国のリアルが詰まった文学の“沼”もハマったら深そうだ。