「気合いと根性」も大事
達川:負けている時はしゃべりまくっていたが、勝ち出したらものを言わなくなった。ほんと頭が回りますよ。
江本:新庄のどこかに1本通った筋があるっていうのは、我々年寄りはホッとしましたね。女子ゴルフの上田桃子が現役引退を宣言して、最後のインタビューで「私はここまでは気合と根性で戦ってきた」って言ったんですよ。これもホッとしました。日本シリーズでも栗原(陵矢)が、“いやボクはもう気合と根性ですから”と言った。新庄監督はクレバーな一方でこうした姿勢を感じる。球界全体がもう一度こういう気持ちに戻ってやってもらいたいものです。
中畑:ノムさんもID野球とか言っているが、最後に「野球というスポーツは根性だ」って言っていた。
江本:下手くそはね、気合だの根性だのという言葉は使えないんですよ。一定以上のランクの上の高い人が使う言葉ですよ。
――座談会では新庄監督への高評価が連発された。最後は阪神OBの江本氏が「来年は阪神対日本ハムの日本シリーズだな」と締め括った。
【プロフィール】
江本孟紀(えもと・たけのり)/1947年、高知県生まれ。1971年に東映入団。1972年に南海に移籍しエースとして活躍。1976年に阪神に移籍し、1981年の引退後は参議院議員、タレントとしても活躍。近著に『ミスタードラゴンズの失敗』(扶桑社)。
中畑清(なかはた・きよし)/1954年、福島県生まれ。1976年に巨人入団。ムードメーカーの「絶好調男」としてチームを引っ張った。引退後は2012~2015年にDeNAの監督を務めた。現在は巨人OB会の会長を担っている。
達川光男(たつかわ・みつお)/1955年、広島県生まれ。1978年、広島に入団し正捕手として活躍。引退後は広島監督や阪神などでコーチを務め、ソフトバンクでヘッドコーチとして日本一を経験した。