2021年、EU初の嗜好用大麻合法化へ踏み切ったマルタ共和国のショップ。流通を管理し闇市場抑止などが狙い(NurPhoto via AFP)

2021年、EU初の嗜好用大麻合法化へ踏み切ったマルタ共和国のショップ。流通を管理し闇市場抑止などが狙い(NurPhoto via AFP)

「ガチでムカつきますよ。マスコミも無断で隠し撮りしてるし、ハナから相手が捕まるとわかっていて取材している。CBDがいかに国家や政府、権力にとって都合が悪いのか、という気しかしませんね」

 興奮した様子で話すのは、以前、体調不良者が続出したことで問題になった「大麻グミ」を仕入れ、店舗で販売していた千葉県内在住の男性(40代)。男性は、警察やマスコミを批判し、時に「権力者に都合が悪い」などといった陰謀論まで引き合いに出して自身や愛好者、同業者、そして今回逮捕されたショップ店長を擁護し、正当化を試みる。

 冒頭で紹介したショップ店長の逮捕劇、実は警視庁から事前に新聞社やテレビ局の担当記者に「リーク」があり、各社の記者やディレクターが、客の「フリ」をして店内に潜入。ニュースでは、逮捕前の店内の様子を隠し撮りした映像が繰り返し流れ、記者と店員のリアルなやりとりまで公開されたが、隠語が飛び交い、まさに「違法薬物のやりとり」であった。しかし男性は、自身の正当性を訴え続ける。

「大体、大麻を規制するから、こうした危険なドラッグが出てきてしまうんです。そもそも、危険性のないCBD商品(男性は“合法大麻と呼ぶ”)だって、規制しまくるから、売る側も困って成分を変え続けて、結果人体に影響が出てしまう違法なものを販売せざるを得なくなる。取り締まりが、体調不良を起こすような利用者を生み出している」(大麻グミを販売していた男性)

 大麻には依存性や幻覚作用があり、常習すると脳を萎縮させると指摘されているので、その主成分であるCBDを取り締まるには根拠がある。12月12日から施行された改正麻薬取締法と改正大麻取締法により、CBD製品に明確な基準が設けられた。違法と合法の線引きがはっきりしたのだから、合法の範囲でビジネスをすればよいことのはずだが、それでは不満らしい。

 このような主張は、筆者がこれまで取材してきた危険ドラッグを製造したり販売する人、そして当然愛好者の間からも聞かれた。だが、本当にその成分は「合法」で「人体に影響がない」のかを問うと、誰もが押し黙る。

 現在、日本国内で出回っている「合法」とされる植物片やリキッドのほとんどは、葉っぱや液体に、添加物をまぶしたり溶かしたりしたものである。その添加物の多くは中国国内から輸入されている化学物質由来だが、輸入され、ドラッグとして世に出回る度に、従来の化学物質に少しだけ手を加えてることで「別の化学物質」を作り上げ、法規制の隙間を狙うように販売されてきた。この流れは、警察庁と厚生労働省が、脱法ドラッグに代わる新しい呼称として「危険ドラッグ」と名付けた2014年、いやその前から変わっていない。そして、これらの化学物質を加えることで人体にどんな影響があるのか、誰もよくわかっていないことも変わっていない。

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