「スケートをしていることを周りに言えない」という悩み
──試合やショーに出るようになっても「こんな年齢だから」「まだ下手だから」という思い込みから、「趣味はスケート」と人に言えない時期が続いたんですね。
はい。スケートを始めてから4年たってようやく、「もうええんちゃう?」と思うようになったんです。私はスケートが好きなんだから、順位がどうであろうと、人からどう思われようと、気にすることはないんじゃないかと。それで、SNSでカミングアウトしました。そうしたら、突如として世界が広がったんです。私は公立高校で日本語教師をしているのですが、同僚が応援してくれたり、生徒が「先生すごいね」と言ってくれたり。SNSを通じて、世界中に大人スケート仲間もできました。自分の首をしめていたのは、ほかの誰でもなく自分自身だったことに、気づかされたのです。
でも、「自分に正直に、やりたいことはやっちゃえ」は、なかなかハードルが高い! 年齢が上がれば上がるほど、そうですよね。周りに言えなかったことを本に書いたら、スケーターでない方にも「『あぁ、私と同じだ』と、泣いてしまいました」という感想をいただいたこともあります。
でもやっぱり、好きでやっていることを隠すのって、自分に負荷をかけていると思うんです。昔の私と同じように悩んでいる人もいると知ったので、自分の経験をSNSで発信したり、本を書いたりしています。スピンもジャンプもまだまだなのに、アラカンで世界大会に出ている私を見て、みなさんにも「弾けて」もらえたらと(笑)。