サングラスをかけた司組長が到着
雑煮にでも使うのだろうか──随時、組員らがネギ、ハイブランドの紙袋、「お茶セット」と書かれたケースなどを運び込む。
そのたびにガレージが昇降し、警察とメディアがカメラを向けるが、現場指揮の野内若頭は先ほどとは打って変わって「撮らせへんで」「各社2枚だけやで」「撮られても問題ないから見せたる」などと余裕ある対応を見せていた。
その空気が再び一変したのが10時15分。15分後にベンツに乗った司組長が到着するという情報が流れてからだ。高山若頭を筆頭に、若頭補佐、幹部、直参組長がガレージ前にずらり。ほかの組員も餅つきの手も止め直立不動。高山若頭の到着同様に“防弾カバン”を持った組員も外に出てきて、さらに近隣道路に組員が車を止め、ほかの車が通行しにくい状況まで作り上げていた。
「見えました!」「入られます」
その声とともに直参組長が腰を折る。まもなく護衛のマジェスタを連れた黒いベンツがガレージ前に流れ込み、司組長が姿を表す。ブラウンのブルゾン、ネイビーのニット、黒いパンツ、そしてトレードマークでもあるサングラスをかけた司組長が現れたのだった。
(後編に続く)