「火災が起こったのは、ちょうど12周年イベントのラーメンを作っていた時でした。それが、火事の影響でスープに煤が入ってしまい、すべてダメになってしまいました。これまでラーメン屋はひとつのドラマだと思ってやっていましたが、渋谷でやるのはもう厳しいなと悟った。自分の中でのドラマは終わりました。気持ちを切り替えて新しい場所を探し始めたところ、たまたま浅草に閉店したうどん屋があるというお話があり、火事が起こった3日後には物件を見に行きました」
そこからすぐに移転を決め、2023年12月には営業を再開。インバウンドで観光客も増え、観光地である浅草の同店には連日客が殺到していたそうだ。そんななか、なぜ閉店することを決めたのか。
「店の選び方は、結婚相手を選ぶようなものだと思っているんです。物件を見た瞬間にいいなと感じ、この空間とともに過ごしたいと思い、家賃は高かったですがすぐに1年契約を結んだ。ですが、インバウンドや物価高の影響で仕方ないとは思うんですが、物件を更新する時、驚くほど高額な金額が提示されてしまって……。ラーメンの値上げも頭をよぎりましたが、これ以上お客さんに負担はかけられない。具体的な家賃は言えませんが、これはちょっと厳しいな、と。ですが、火事になった後ここでやれたことに関しては、浅草には感謝の気持ちしかないです」