現在、事故の原因として指摘されているのが、鳥と衝突する「バードストライク」だ。航空評論家の青木謙知さんが解説する。
「上空にいる時点で機体の片側のエンジンから出火しているように見えるので、バードストライクが起きた可能性はあります。しかし、旅客機のエンジンは2台あり、1台が破損しても、パイロットは残る1台のエンジンで安全に着陸できるよう訓練を積んでいるので、バードストライクだけが事故の原因とはいえません。
映像では減速するためのフラップや車輪が出ておらず、それらの装置にトラブルがあった可能性も考えられる。事故原因の詳細はフライトレコーダーの解析を待つしかない状況です」
一命を取り留めた2人は、いずれも乗員だった。
「乗客サービスを行っていた2人の生存者は機体最後部から救助され、事故発生時、後方にある簡易キッチンの座席に座っていたそうです。衝突の衝撃で尾翼を含む機体最後部が偶然にも切り離される形になり、爆発に巻き込まれずに済んだので、奇跡的に助かったと推測されています」(在韓ジャーナリスト)
今回の生存者が機体最後方から出たことは偶然ではない。これまでも事故発生時、どこの座席に座っていたかが、生死を分けた例がある。
どの航空会社でもファーストクラスやビジネスクラスなどの上級シートは前方に設けられており、これは乗降しやすく、エンジンから遠いので、騒音や揺れが少ないためだが、事故が起きた場合、前方座席の生存率は高いとはいえない。1985年に御巣鷹山で起きた日航ジャンボ機墜落事故での死者は520人。4人の生存者がいたが、すべて後方座席に座っていた乗客だった。