「23日に現れたクマは体長1.1メートル、体重は40キロほどの痩せ型でした。当初は花火を使った追い払いを実施しましたが、近くの小屋に入ってしまい、うまくいきませんでした。民家のそばであるため、発砲(射殺)もできません。
そういった状況の中で、吹き矢を使った麻酔で眠らせる作戦が成功したから、戻って来れないところに放獣をしました。眠っている以上、遠方に放つのであればわざわざ殺す必要もないのではないでしょうか。どこに離したかは、安全管理の問題で申し上げられないが、絶対に戻ってこられない場所です」
「当日の切迫した状況でたまたま麻酔がうまくいったから放獣という判断になりました。殺すか生かすかありきで、対応することは難しいです。現場の状況から、どのように対処するか。そしてうまくいった方法から、どう判断するかです。今回はたまたま放獣という判断になったということです」
放獣に際しては、人間の怖さを教えた上で山に戻す“学習放獣”という考え方もある。今回のケースは、山に追い払うこと自体には失敗したものの、花火を何発も打ったことが結果的にこのクマに人間に対する恐怖心も与えられた、として放獣という判断の後押しにもなったという。