「4年くらい前の秋の夕方の話なのですがね、ちょうど山を登って休んでいたんですよ。夕方で暗くなってきていて見えなくてね、気付いたらほんの1メートル先に熊がいて。周りが木に囲まれていて、暗いと本当に見えないのよ。
犬が吠えたら熊が立って、そしたら本当に大きくて、1メートル60センチくらいあってね、私より大きくて……。また犬が吠えてくれてね、そしたらクマがクルミの木に登ったんですよ。鉄砲持っている人たちに電話してね、そのクマは殺処分になりました。
殺処分は可哀想だけど、とにかく農作物の被害もあるから、なんともね」(70代女性)
「殺処分すれば、動物愛護の観点からどうなのかなと思う所もあります。かと言って、怪我人が出る事故も起きているんですよ。バランスよく考えるのがこのあたりに住む人たちみんなの考えだと思います。最近は若い人たちがSNSで極論を言い合っていますが、実態を見てほしいですね。今回は怪我人がなく無事に済んだのが何より良かったです」(60代男性)
クマの近くで生きる人たちはたくましかった。
(了。前編を読む)