──なるほど。これまで1000種類以上食べた中で、忘れられない春巻きはありますか。
「たくさんありますが、最近、印象に残っているのが東京の大塚にある『地酒や もっと』で食べた『鮎のコンフィ春巻き』ですね。丁寧におろした鮎を丸ごと包んだ春巻きで、焦がし醤油を粉末にした調味料と丸ごと口に入れた瞬間、パリパリ感と鮎のほろ苦さ、鮎本来の甘みが一気に広がる。コンフィされた鮎を皮で包んでゆっくりと丁寧に揚げることで、よりうま味も出てくるんですよね。普通の塩焼きよりも味わい深い鮎が楽しめます」
──春巻きの概念を覆す絶品ですね。
「まだあるんです。武蔵小山にある『春巻き専門店 はるまきバトン』の『牛すき焼き春巻き』はすき焼きだけに生卵がディップできるんですけど、一般の方は丸ごと春巻きをつけがちなんです。でも、ここで春巻きを美味しく食べられるテクニックがあります。小さなスプーンで春巻きのあんに垂らしてください。
なぜなら、タレはできるだけ皮にかけない方がパリパリ感をキープできるからです。
北海道にある『ごはんやはるや』の『エビと根菜の春巻き』も、皮にまぶされている塩がまろやかで甘みと塩っけのバランスが絶妙です」