「沖縄のお笑いも“本場”で味わうもの」
県外の人にも開かれていて、かつ沖縄芸人も爆笑させられるネタ。それが再び完成したとき、今度こそハンジロウの「オンリーワン」が「ナンバーワン」にくるりと回転するのかもしれない。
ディレクターの山里は将来の展望をこう語る。
「今、ラッパーのAwichとかがリリックの中にうちなーぐちを混ぜたりしていて。今の若い世代の間でもうちなーぐちのニュアンスみたいのがカッコいいよね、っていう感じになりつつあるんです。お笑いの世界でも沖縄らしいことがそのまんま通用する時代が目の前まで来ている気はするんですよね。ただ、O-1もそうだけど、沖縄の笑いは本来、沖縄で観るものなんです。だから、沖縄のお笑いが全国で認知されるようになったら、今度は本場に観に行こうとなってくれるのが理想。意味がわからなくても、へー、沖縄の人はここで笑うんだというのだけでもいいんですよ。それもお笑いなんで」
そして、こう締めくくった。
「オリオンビールも泡盛も沖縄で飲んだ方がおいしいでしょ?」
納得だ。沖縄で味わう沖縄のお笑いは、言ってみれば初めて泡盛を飲んだときの印象に近い。明かな文化の隔たりだ。だが、そのギャップが魅力であり、引力でもある。
初めて沖縄のお笑いに接する県外出身者は自分が異邦人であることを痛感するに違いにない。だが、その取り残される感じがたまらなく楽しいのだ。
【了。前編から読む】
■取材・文/中村計(ノンフィクションライター)