事件があったススキノのホテル202号室(利用者提供)
浩子被告が法廷で流した“涙”
事件当時、昼夜逆転の生活を送っていた瑠奈被告。一人で外出できないため、深夜であっても修被告が瑠奈被告の望む場所に車で向かった。修被告は、昼は精神科医として働くなかでの“付き添い”だったが、引きこもりが続いた瑠奈被告の前向きな行動として浩子被告は「仕方ない」と思っていたという。
瑠奈被告は所有物への異常な執着を見せていた。瑠奈被告の物に少しでも触れると怒られるため、家は物で溢れゴミ屋敷のように。浩子被告のスペースは自身の寝床が僅かに確保されているだけで、修被告のスペースはなく毎晩ネットカフェなどを使用していた。
平均10万円ほどするドールを100体以上集めており、そのほか、神様を祀る儀式用ナイフ、ドールの撮影用ボードを作成するベニヤ板とそれを切断するノコギリなど多数購入していた。これは事件に使われたエタノールや刃物類にあらかじめ馴染みがあり(エタノールはドールのメンテナンス用)、購入は事件の手助けでないとする修被告側の主張に繋がっている。
そして、瑠奈被告は過去に2度自殺未遂を行っていたという。16歳、18歳になる誕生日の前日のことだった。それ以外でも毎年のように、誕生日を迎えたくないとわめき、身体に傷をつけていたという。誕生日の前日以外にも、首筋、腕など自傷行為を行っていたとされる瑠奈被告。当時を振り返る証言の中で、浩子被告から思わず感情が溢れた。
浩子被告「他によく切っていたのは……(言葉に詰まり、少し涙声になりながら)口の端から耳にかけて傷をつけていました」
異様すぎる事件ながら、その証言全体の中で言葉を詰まらせる機会はほぼなかった浩子被告。愛する一人娘の顔を自ら傷つける様子を涙ながらに語る姿は、傍からは異常と思える生活を続ける中でも、親としての愛情を感じずにはいられなかった。