『告知事項あり。 その事故物件で起きること』(著:株式会社カチモード代表取締役社長・児玉和俊)

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手のひらサイズの鏡で検証

 2時35分。1時間ごとの機材数値を表に落とし込んでいるときに2回目の気配と視線を感じます。まったく同じ場所。左背後です。

「この気配と視線はこちらが何か書き仕事を始めると出てくるのか?」

 と思いつつ、視線は用紙に向けたまま、かたわらに置いてあるミニテーブルに準備していた道具を手で探ります。手に取ったのは、手のひらサイズの鏡。調査に臨むに当たっては様々なものを現場に持ち込みますが、鏡もその中のひとつです。直接見て消えてしまうのであれば、間接的に見ることはできるのか。

 今夜はもう気配も視線も発生しない可能性のある中で、一応準備をしていたのが功を奏します。スッと右斜め前に鏡を構え覗き込みます。気配と視線は消えません。しかし鏡には何も映ってはいません。

「鏡には映らないのか!」

 と思った瞬間に左後ろを振り向きます。今回も誰もいません。そして先ほどと同じように、誰もいないことを確認した瞬間、気配も視線も消えました。

「不思議だなぁ……」

 もし3回目があるとしたらと考え、廊下側のドアを映しているカメラを1台、定位置の左後ろ、気配と視線を感じる部分が画角に収まるようにセットし直そうかとも思いましたが、やめました。

「変なことをして出てこなくなる方が嫌だな」

 そう考え、それまでと同じように調査を続けることにしました。資料の備考欄に『気配と視線は鏡に映らない』とだけ記して。

 3時28分。3時30分からの数値チェックの準備と、この1時間の様子を椅子に座りながら資料にまとめていたときです。3回目の気配と視線を感じました。しかし、先ほどとは様子が違います。気配と視線の発せられている部分が左後ろからではないのです。

「え? 資料を覗き込んでいる?」

 気配は私の真後ろにいます。座る私の真後ろに立ち、身をかがめ、私の左肩口から私の資料を覗き込んでいる。そんなイメージを持ちました。

「近い……。でも気配と視線だけ? 息遣いはない」

 急激にその気配が距離感を詰めてきたことに驚きながらも、意外と冷静なことを考えていましたが、その距離感はとても気持ち悪く、我慢できずに左回りに上半身を捻り、振り返ってしまいました。しかし、やはりというのか、そこには誰もいませんでした。確かな気配と視線を感じていたのに……。

「借り上げ、決定かな……」

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