判決言い渡し一週間前の水原被告。肩まで伸びたロン毛(Backgrid/Aアフロ)
門番に要件を伝えると、門番は部屋の中にいる人物と電話でやり取りをした後、私にこう言った。
「住人はあなたに会いたくないと言っている」
私は礼を言って、その場を離れた。そしてこの時の模様について「水原が住んでいるとみられる自宅」と表記し、『週刊ポスト』に記事を書いた。
それから半年。水原の賭博騒動について取材を続けていた私は、本人が沈黙を貫いていたため、父親に話を聞こうと接触した。すると開口一番、英政の口から冒頭の話が飛び出したため、驚いたのだ。私が水原の自宅を訪れ、記事を書いたことに、英政は憤慨していた。
「あれから、もうあなたは無理だね」(英政)
それでも私が頭を下げ続けると、英政はぽつりぽつりと語り出した。言葉数は決して多くはないが、その端々には、水原の置かれていた状況、そして英政自身の葛藤が滲み出ていた。