新しい配信番組のMCを担当する予定の堂本光一
かつての「アイドル帝国」の再建は道半ばだ。グループ脱退や事務所退所など、それぞれが新たな決断をする一方、“デビュー予備軍”といわれるジュニアの面々は不安と闘っている。窮地を救うべく立ち上がったのは、憧れの先輩たちだった。
183人──これは、「ジュニア(旧ジャニーズJr.)」のオフィシャルサイトに掲載されているタレントの人数だ。ジュニアとは、主にCDデビューしていないタレントたちの総称で、たくさんの若き才能が、将来のスターダムを目指して切磋琢磨している。近年、彼らが鍛錬の成果を発表する場は、極端に限られていた。しかしいま、先の見えない日々に、一筋の光がさそうとしている。
2月12日、KAT-TUNが3月末で解散することが発表された。6人での船出が半数にまで減る紆余曲折を経たグループだったが、存在感は別格だった。特に鮮烈なのが、2006年3月のCDデビューより前、ジュニア時代の活躍だ。
「デビューから遡ること4年前の2002年8月に東京国際フォーラムで行った初コンサートでは、3万席分のチケットに約55万人が応募。2006年には、史上初となるデビュー前アーティストによる東京ドーム公演も成功させました。KAT-TUNの人気を下支えしたのは、ジュニア時代からのファンの熱量でした」(音楽関係者)
華々しい世界で活躍するための、アイドルとしての素地はジュニア時代に愚直に積み上げるしかない。にもかかわらず、故・ジャニー喜多川氏による性加害問題以降、ジュニアが出演する番組は終了が相次いだ。
「ジュニアの活躍の場の1つは、地上波のテレビ番組でした。ところが、長らくジュニアがメインでレギュラー出演してきた『裸の少年』(テレビ朝日系)は2023年11月に終了。『ザ少年倶楽部』(NHK)も昨年3月いっぱいで終了しました。
また『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)をはじめとした各局の音楽特番に先輩グループが出演すれば、ジュニアの出番もありましたが、そうした機会も激減。ジュニアのモチベーションの低下が心配されていました」(テレビ局関係者)
制作するのは“嵐のレーベル”
テレビ各局ともデビュー組のドラマなどへの起用は順次再開されているものの、ジュニアの活躍の場はほとんどないのが現状だ。ジュニアの当面の目標はCDデビュー。しかし、たとえば直近でデビューしたAぇ!groupの場合は、水面下で2023年のデビュー予定だったものが、昨年5月にまでずれ込んだとされる。
「ジュニア内グループのHiHi Jetsと美 少年も、長らくデビュー秒読みといわれてきました。Snow ManとSixTONES以来の“2組同時デビュー”も噂されていましたが、現時点ではデビューに至っていません。その間に、HiHi Jetsからは高橋優斗さん(25才)が、美 少年からは金指一世さん(21才)が脱退し、事務所を退所しました」(前出・音楽関係者)
ただ、独立しても安定して活動できるのは、すでに実績がある有名なデビュー組に限られるのも現実だ。いつデビューできるのか、あるいはこのままデビューできないのでは──そんな不安と焦りを感じていたジュニアもいたという。
「特にジュニアは、グループを結成し、単独でコンサートを開催していてもCDデビューしていなければジュニアのまま。もしデビュー前にメンバーが抜けたり、問題が起こったりすると、そのまま消滅することもあります。想像以上に厳しい環境に置かれているんです」(前出・テレビ局関係者)
一方、ジャニー氏問題以降も、ジュニアオーディションを開けば多くの応募があり、新たなジュニアが集う状況に変わりはなかったという。そこでようやくこのほど持ち上がったのが、「新しい歌番組」の制作だった。
『Star Song Special』が、2月27日16時より隔週木曜にPrime VideoおよびDMM TVで配信されることが18日発表された。
現在、Netflixでは、timeleszの新メンバー募集オーディションの様子が配信され、ランキング上位をキープしている。また、Disney+では、Snow Manのトラベルリアリティーショー『旅するSnow Man』の配信が今年始まる予定だ。
「ただの歌番組ではなく、よりアーティスト性の高い番組を制作するうえで、海外も視野に入れて配信の形になったのでしょう。なにより驚いたのは番組の制作をすべて独自に行うこと。従来の地上波テレビ局の力は借りないようですよ」(前出・芸能関係者)
番組の制作は、2001年に嵐のプライベートレーベルとして発足した「ストームレーベルズ」が担うという。
「デビュー組のコンサートがあれば、バックで踊ることを通して“どのようにコンサートが作られ、どのようにファンが沸くか”といったことを体感できます。
一方、テレビ番組と距離ができてしまったことで、ジュニアの中には番組収録の経験が極端に少ない人間もいるんです。カメラの向こうにいるファンにどう呼びかけるか、そうした番組づくりの現場を経験してほしいという考えから、計画が持ち上がったそうです。とにかく、ジュニアの出番を多くし、チャンスをつくってあげたいという狙いがあるようです」(別の芸能関係者)