オウム真理教についての報道はアメリカから専門家を呼んだという
『ニュースステーション』などを見て情報番組を研究
印象深かったのは、『ザ・ワイド』の放送がスタートした翌1994~1995年のオウム真理教についての報道です。1994年6月末、松本サリン事件が起きました。猛毒のサリンが使われ、これは大変なことだと、そのバックグラウンドを取材するのですが、あまり的確な答えが見えてこない。
昼の『ザ・ワイド』を終え、夜はありとあらゆる報道番組を一生懸命見ていました。ですが、やはりサリンの解説に伝わってくるものがない。なんでだろう、と考えたら、サリンの解説をしているのは化学者や薬学者。彼らは化学式でサリンを知っているだけで、おそらくサリンを作ったことも使ったこともないからだろう、と気付いたのです。
それで、日本テレビの番組上層部に「毒ガス兵器の専門家を米国からぜひ呼んでほしい」と上申したところ、時間はかかりましたが、12月に米国からカイル・オルソン氏という専門家を呼ぶことができました。
彼は長野県の松本へ行って現場を調べた後、私たちの番組で「なぜ、事件が起きたのが松本だったかわかりますか?」と仰った。「いや、わかりません」と答えると、「テロリストグループがテスト地として選んだのが松本だったからだ」と言うのです。そして、「テストをやったということは、次に必ず本番があります。本番の場所はもちろん東京です。狙われる場所は閉鎖空間……地下鉄、新幹線、野球場、映画館などです」と。ですから、くれぐれも気をつけてくださいね、と言うのです。