上京したての頃
「とにかく昔からラーメンが大好きで、“ラーメンで生きている”というくらい食べてきました。故郷・鹿児島から21歳で上京してからは、都内のラーメン店を食べ歩いていました。僕は料理するのも大好きで、ヒットを出した頃も基本は自炊していたほどなんです」
ミュージシャンなのにラーメン店修業、とは大胆な選択だ。どちらも人に見られる職業。周りの目が気にならなかったはずはないが、背に腹はかえられなかった。
当時、36歳。「かづ屋」で働くほかの人たちは20代で、年下に顎で使われるのも精神的にきつかった。それを耐え、44歳で晴れて独立したものの、店の味を維持する努力はまた次の問題をうんだ。
「毎朝ラーメンを仕込むので、味を確かめるために必ず食べなければいけない。その生活を続けていたら、体重が20代の頃と比べどんどん重くなり、ピーク時は98キロにまでなってしまいました」