全部で23章ある。ネット記事を読みなれた人にも読みやすいようにと1話を短くし、1話完結の話がつながって、全体で1つのストーリーになる構成を考えた。図表は使わず、鈴木さん自身が描いたかわいいイラストがページを彩っている。わかりやすく、軽妙で、面白く書かれているが、内容自体はものすごく濃い。
アリストテレスやダーウィンといった哲学者・学者が唱えた「言語は人に固有」という説を覆すのだから、これは「天動説→地動説」ぐらいの歴史的発見かもしれないと、読みながら震えた。
最初に結論ありきではなく、長い観察の時間があったからこそ、これまで誰もたどりつけなかったストーリーを発見できた。
「最初に気になったのは、なんでシジュウカラはこんなにいろんな声を出すんだろうということでした。200パターンぐらいあって、調べていくうちに、でたらめには鳴いてなくて、状況によって使い分けているのがわかった。タカが来たら『ヒヒヒ』と鳴くし、ヘビの時は『ジャージャー』。『警戒、集まれ』みたいに声を組み合わせて2語文をつくることもできる」
これだけでも大発見だが、どうやってそれを科学的に証明するかを考えるまでに、さらに時間がかかった。証明の方法がどれもびっくりするほど独創的だ。