不同意性交等罪「被害の行為・状況8項目」
では現状、夫婦間で性犯罪の被害に遭っていると感じたらどうすればいいのか。
「通常、性犯罪は被害に遭ったらできるだけ早く警察に通報することがベスト。しかし、夫婦間ではそれがはばかられることもあるでしょう。子供がいる家庭であればなおさらです。そこで大切になるのは『証拠の保全』。もっとも有効なのは、被害を録音しておくことで、また、抵抗した際に衣服が破れたり、物が壊れたりした場合はそれも証拠になるので保管しておきましょう。
さらに体に傷があれば写真に撮ったり、病院で診断書をもらってください。性交を強いられた過程で相手から外傷を負わされた場合、『不同意性交等致傷』という一段と重い罪に問うこともできます」
それでも配偶者を「前科者」にしたくないと考えてしまう人もいるはず。しかし自分の心と体を守ることを最優先にすべきだ。
「充分な証拠を用意して警察に被害の相談をすれば、夫は任意で事情を聞かれるはず。そこで逮捕される可能性を感じれば、示談の意向を示すでしょう。不同意性交を二度と行わないという誓約をさせるなり示談金を受け取るなどして応じれば、夫は逮捕を免れます」
民事裁判で被害を主張することもできる。
「私の知る事案では、警察ではなく離婚裁判で夫からの不同意性交被害を主張し、慰謝料の算定で有利な条件を得て離婚したケースもあります。ひとりで行動を起こすことが不安な人は、弁護士に相談することをおすすめします」
未成年者が「自覚なき被害者」となっている可能性もある。
「刑法改正では、16才未満の子供に対する性犯罪を規制する『面会要求罪』と『映像送信要求罪』が新設されました。面会要求罪は子供にわいせつ目的で面会することを要求しただけで成立し、相手にわいせつの意思を伝えず、下心を隠して面会した場合でも同様です。
映像送信要求罪も、実際に子供が送信していなくても“下着姿の画像を送って”など性的姿態の映像送信を要求しただけで、処罰の対象になる。子供のSNSやチャットアプリでそうしたやり取りが確認されれば、スクリーンショットなどで証拠を残し、警察もしくは弁護士に相談すべきです」
加害者にならないためにも、被害から身を守るためにも、性に関するコンプライアンス基準を一新させる必要がありそうだ。
※女性セブン2025年3月20日号