「死因贈与契約」で濱田淑恵容疑者の親族が譲り受けた白塗りの豪邸
さらに重要な事実も発覚した。現金以外にもAさんから濱田容疑者の側へと渡った大きな財産があった。
関係者によると、大阪府河内長野市の住宅街にある、白塗りの豪邸はAさんが8000万円のローンを組み、購入したものだった。しかし、家を訪れたことのある別の知人はこう言う。
「10年以上前から表札には『HAMADA』と掲げられていました。さらにAさんの死後、濱田容疑者の親族に所有権が移った。なぜAさんの親族に相続されないのか不思議に思っていたのですが、『死因贈与契約』が結ばれていたそうです」
逮捕容疑が「自殺教唆」になったワケ
実際にこの邸宅の登記にも形跡が確認できた「死因贈与契約」とは、財産を持つ本人が存命中に、死亡した場合に財産を譲る相手と結ぶもの。その効力や意図を、アトム市川船橋法律事務所の高橋裕樹弁護士に聞いた。
「死因贈与は遺言とほとんど同じ効力です。ただ、書面での死因贈与契約の場合、どちらかが一方的に取り消すことはできません。もとの所有者が『やっぱりやめた』と一人で書き直せる遺言とは、この点で大きく異なります。
一般論として、死因贈与契約が書面で結ばれる場合、贈与される側の立場が強いケースが目立つ。死因贈与はいわば贈与者の心変わりの余地をなくす契約なのです」