トランプ米大統領はテスラとイーロン・マスクを支援するためにテスラを購入すると表明した(CNP/時事通信フォト)
「マスク氏はDOGE(政府効率化省)を率いて数万とも言われる連邦政府職員をバッサリ切った、クビにしたんです。その手法があまりにも強引で、前週の業務報告がなければ辞職とみなす、と職員を脅したりしたと報じられると、市民の不満が爆発。米国内のテスラ販売店やテスラ用の充電ステーションが破壊されるなどしています。この行為をトランプ氏は”テロ行為である”と断定し、市民とトランプ大統領、マスク氏の対立はより鮮明化しています」(外報部記者)
実際、テスラ社の株価は3月に入り15%以上急落。コロナ禍を含むこの4年の間で最大の下げ幅になった。そんなわけで、慌てたであろうトランプ大統領は、マスコミを集めて「テスラの新車を購入した」とPR。その横には、満足そうな笑みを浮かべるマスク氏の姿もあったが、外報部記者は「逆効果では」と私見を述べる。
「トランプ大統領やマスク氏は、不買運動は”極左”的な思考の持ち主によるもの、と断言しましたが、高額なテスラ製電気自動車を購入している客層はそもそも、リベラルな考え方の人も多い。米国内では”極右”とされるトランプ大統領と、強引な手法で政府職員を追いやるマスク氏の関係がより強化されれば、リベラル層がテスラに拒否反応を示すのは当たり前。今回、トランプ大統領がテスラの新車を購入したとことで、その拒否反応には拍車がかかるはず」(外報部記者)
「テスラなんか古臭い」
日本国内の大手メディアもおもしろおかしく報じたが、米国国内では、テスラ車に貼る専用の、とあるステッカーが人気を博しているともいう。
「(自分が乗っている)テスラは、マスク氏が今のように(極めて独善的に)なる以前に購入した車だ、と主張、というか、説明するようなステッカーが売れている、とは日本国内のキー局ニュースでも報じられました。現地ではさらに、テスラ車から”T”のロゴを取り払い、そこに米国企業であるフォード社やシボレー社、キャデラック社のロゴへ付け替えると言う動きまで出ているのです」(外報部記者)
前出、米国・サンノゼ在住の日本人男性も、米国人の妻に日本企業の「ホンダ」がアメリカで販売しているブランド「アキュラ」のロゴを渡されたという。
「妻は冗談半分のようでしたが、笑っていられるような状態ではない。正直、このような政治状況が続くなら、テスラにはもう乗れない。反トランプ、反マスクの市民から攻撃までされる。市民分断の象徴のようになる恐れもあると感じます」(サンノゼ在住の日本人男性)