押収されたイタリアの人気ブランド「ドルチェ&ガッバーナ」の偽物のジーンズ。2014年6月(時事通信フォト)
大きな外国人に脅されるように買わされている
筆者が若い頃、それこそ今から20年近く前にも、確かに同じような「偽物ショップ」があった。そして毎回、興味本位でのぞいたものだった。
その頃とちっとも変わらず、なんとなくノスタルジックな気持ちに浸ってしまいそうにもなるが、いかんせん「偽物ショップ」であり、その背景には反社会的組織の姿もちらつく。なにより、なぜ何十年も、摘発されてはまた出来てのイタチごっこを繰り返しているのか。
こうした店は偽物を売るという戦場の最前線で、キャッチの男らは送り込まれた特攻兵のようなものだ。戦いの場所は都内であれば原宿だけでなく、渋谷や上野にも似たような店が存在している。そういった店は都心だけでなく郊外にも点在し、八王子や町田はもちろん、千葉や埼玉、神奈川にも同じような店がある。それらの店では、主に中国などで作られたブランドのコピー品が、あらゆるルートから集められて、多くは外国人の手によって日本人に売りさばかれている。こうした販売ルートが長年の慣行によって確立されているから、何回、摘発劇が繰り返されても再登場し、同じやり方で販売を続けるのだ。
ただし、若者の中には、こうした情報をしっかり把握しているクレバーな層も存在するようだ。前出、竹下通りで飲食店を経営する男性が笑う。
「何年か前、あの辺の怪しい店にユーチューバーの若い連中がやってきて大騒ぎしていたんだよ。人と揉めているような声も聞こえたから、最初は警察沙汰かと迷惑に思ったけど、あとから騒動の映像を見て笑ったよ、偽物を売っていると言いながら撮影して店員と揉めていたんだ。あそこが偽物を売ってる店だって、昔より知れ渡っているようで安心しました。今や、若者だっていろんな情報を知ってるから、そこまで馬鹿じゃないだろうし、偽物だってわかるでしょう。でも、大きな外国人に脅されるように買わされている子もいるからね。かわいそうだね」
今回の摘発劇が最後と思いたいが、どうなることか。