舞台にかける思いを明かしたワッキー(撮影/山口京和)
「日本人の本質を見抜いているんじゃないか」
――お子さんの年齢を聞いてもいいですか。
ワッキー 上が高1で、下が小5です。まだ成人したわけではないので、そこはちょっと引っかかりましたけど、僕のモットーというか、そういうものはある程度、伝えてきたので。僕が死んでしまったとしても、何か困ったことがあったら、パパだったらこうしただろうから自分もこうしようという風に思ってくれるだろうなという自信はあったんです。
――モットーというのは?
ワッキー 1つしかないんですけど、どんな状況でも工夫次第で楽しくできるんだよ、ということですね。人生は楽しいもんだよっていうことは、ずっと言ってきているんです。たとえば、このバイトつまんないなと思ったときも、それはおまえが工夫してないだけなんだよ、と。極論ですけど、僕は牢屋にぶち込まれても楽しめるんじゃないかなと思っているところがあるんです。いや、実際にはできないかもしれませんけど、そういう人間になりたいなと思って生きてきたんです。
――今年、戦後80年を迎えます。日本人の男性の平均寿命がだいたいそれくらいですから、戦争を体験した男性はほぼいなくなるわけです。あと20年経ったら、男性も女性も戦争体験者はほぼいなくなりますよね。そうしたら、また戦争が起きてしまうのかなと思ってしまうことがあります。
ワッキー 先ほどお話しした上野さんにお会いしたとき、最後に「今の日本に対してどう思いますか?」って聞いたんです。そうしたら「う~ん」ってしばらく考えたあと、まったく思ってもみなかった言葉が返ってきて。やると思います、って言ったんです。日本人は、と。そういう気質なんです、って。戦争で極限状態を味わった人間は日本人の本質を見抜いてるんじゃないかなと思いましたね。
――やけに説得力があって、少し怖くなりますね。
ワッキー これは理想論かもしれませんけど、戦争をなくすための方法は1つだと思うんですよ。それは日本じゃなくてもいいんですけど、どこかの国が戦争なんてしなくてもこんなに豊かで、こんなに楽しい国になるんだということを示すしかない。それこそ、世紀の大発明になるんじゃないですか。
――ワッキーさんは、そのためにお笑いをやっているわけですね。
ワッキー 僕もそうですけど、吉本興業の究極的な存在価値はそこにあるのかもしれませんね。
(了。前編から読む)
■取材・文/中村計(ノンフィクションライター)
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