スポーツ
人生で残酷なことはドラゴンズに教えられた

【中日ファンあるある】「ミスタードラゴンズ」高木守道の応援歌に表れた中京人独特の「分のわきまえ方」 だがニックネームはいかがなものか【中日ドラゴンズに学ぶ人生の教訓】

今季のスローガン「どらポジ」を掲げる中日・井上一樹監督(時事通信フォト)

今季のスローガン「どらポジ」を掲げる中日・井上一樹監督(時事通信フォト)

 新シーズン開幕を迎えた中日ドラゴンズ。今季は井上新監督のもと「劇的復活」を果たす1年となる。そんなドラゴンズを溺愛する拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が、ドラファンと中京人メンタリティの関係性について新著『人生で残酷なことはドラゴンズに教えられた』で言及している。シリーズ第5回では、「元祖ミスタードラゴンズ」高木守道のニックネームに象徴される、中日ファンの「奇妙な謙虚さ」を紹介する(シリーズ第5回。第1回から読む)。

 * * *
 冷たい、といえば思い出すのが、元祖・板東英二の「燃えよドラゴンズ!」の歌詞だ。「一番高木が塁に出てー」って歌い出し。

 引っかかるのは、「高木が塁に出る」って歌詞。フォアボール? いや、デッドボール? たしかに出塁率は高かったけど、好打者だよ、ミスタードラゴンズは。

「ヒットで出塁」としない理由が分からない。言うだけならタダなのに。ひょっとして、妙な遠慮が働いたのかな。そういうところが中京地方の人にはある。

 思い当たること(関係ないかもしれないが)を書いておこう。私の地元の話だ。

 私は東京では名古屋出身と言っているが、正確には愛知県の長久手市の出身だ。だから、東京で名古屋出身者と会うとたまに気まずい思いをする。

「えっ、名古屋のどこ?」
「あっ、長久手」

 そういうやり取りの後に、相手はかなり高い確率で「……」と、裏口入学者を見るような目になって、テンションを下げる。

 まあ、ド田舎だったから仕方がない。小牧・長久手の戦いと教科書の隅に書かれてた長久手町だ。合戦ができるような場所だ。アーバンじゃない。愛知県だけど愛知郡。「大字」も「小字」もついていた。友だちの家に遊びに行けば、けっこうな確率でトイレは家の外にあった。

 子供の頃は名古屋のベッドタウンという程度にしか認識していなかったが、考えてみれば地名はかなり個性的だ。

 駄菓子屋が2軒あってまあまあにぎわっていた通りには「首塚」があったし、「血の池」にはしょっちゅう鮒を釣りに行った。どちらの地名も、子供には単なる「ク・ビ・ヅ・カ」と「チ・ノ・イ・ケ」という音でしかなく、禍々しい印象なんて持ったことはなかった。この程度の地名は「銀座商店街」くらい日本中にあると思っていた。

 だが、東京で口にするとドン引かれる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト
引退すると言っていたのに誰も真面目にとりあっていなかった(写真提供/イメージマート)
数十年続けたヤクザが引退宣言 知人は「おめでとうございます」家族からは「大丈夫なのか」「それでどうやって生きていくんだ」
NEWSポストセブン
インタビュー中にアクシデントが発生した大谷翔平(写真/Getty Images)
《大谷翔平の上半身裸動画騒動》ロッカールームでのインタビューに映り込みリポーター大慌て 徹底して「服を脱がない」ブランディングへの強いこだわり 
女性セブン
映画『八日目の蝉』(2011)にて、新人俳優賞を受賞した渡邉このみさん
《ランドセルに画びょうが…》天才子役と呼ばれた渡邊このみ(18)が苦悩した“現実”と“非現実”の境界線 「サンタさんを信じている年齢なのに」
NEWSポストセブン
アーティスト活動を本格的にスタートした萌名さん
「二度とやらないと思っていた」河北彩伽が語った“引退の真相”と復帰後に見つけた“本当に成し遂げたい夢”
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、小泉家について綴ります
《華麗なる小泉家》弟・進次郎氏はコメ劇場でワイドショーの主役、兄・孝太郎はテレビに出ずっぱり やっぱり「数字を持っている」プラチナファミリー
女性セブン
調子が上向く渋野日向子(時事通信フォト)
《渋野日向子が全米女子7位の快挙》悔し涙に見えた“完全復活への兆し” シブコは「メジャーだけ強い」のではなく「メジャーを獲ることに集中している」
週刊ポスト
1966年はビートルズの初来日、ウルトラマンの放送開始などが話題を呼んだ(時事通信フォト)
《2026年に“令和の丙午”来たる》「義母から『これだから“丙午生まれの女”は』と…」迷信に翻弄された“昭和の丙午生まれ”女性のリアルな60年
NEWSポストセブン
6月2日、新たに殺人と殺人未遂容疑がかけられた八田與一容疑者(28)
《別府ひき逃げ》重要指名手配犯・八田與一容疑者の親族が“沈黙の10秒間”の後に語ったこと…死亡した大学生の親は「私たちの戦いは終わりません」とコメント
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト