番号の偽装表示による警察なりすましへの注意喚起(警視庁生活安全部公式Xより)
生成AIを使った巧妙な「なりすまし」
番号表示を偽装するスプーフィングを用いた詐欺は過去にもあったが、それは主に国内からの架電によるものだったため、電話会社による対策によって下火になった。ところが今回、問題となっている警察になりすましての詐欺は、海外からネット電話で日本に電話したときに番号の偽装表示をしているらしく、発信元を特定することが難しくなっている。
そして今、複数の日本人が「監禁」されている等と報じられている東南アジアの国境地帯から、今回の一連の犯行が実行されている可能性も指摘されている。そこで、実行犯をまとめて全体を指揮しているのは、中国系の犯罪グループだとみられているが、彼らが日本人を監禁するのは「日本人相手に詐欺を働かせる」ためとされており、スプーフィングを使ったとみられる「警察のなりすまし」と監禁されている日本人の「流ちょうな日本語」によって、国境を越え日本人からカネをだまし取っている、というのが実情なのだ。さらに、日本人以外にも、タイやフィリピンや台湾、インドなど、そしてもちろん中国人も含め、アジア各国から各国人を様々な名目で連れ出し、監禁している実態も、すでに世界中のメディアが報じている。
かかってきた電話の番号が非表示だったり、「+」がついた国番号が表示されていれば、たとえ「警察」を名乗ったとしても信用する人は今ではほとんどいないだろう。だが、表示された着信電話番号をネットなどで検索して「実際にある警察署の番号」だと分かったとき、相手が警官になりすました誰かだと疑うのは難しいだろう。だからこそ、多くの人がまさに今、次々に騙されている。
現在は、警察としても看過できないと大々的に広報をしており、大手マスコミも連日のように取り上げているから、今後は同じ手口で騙される人は減ることだろう。しかし、この「なりすまし」は今後、別の詐欺に形を変える可能性が高い。
筆者が調べたところ「スプーフィング」を使ったとみられるなりすまし事件は、すでにこれまでに何件も発生している。「警察」になりすますのではなく、親族や会社関係者などの番号を表示させ、被害者を「信用」させた上で金を奪うのだ。最近ではここに「AI」という、詐欺師にとっては強力すぎる武器も登場している。どれだけ巧妙になりすましても人間がやることには綻びが出やすく、会話を続けるうちに嘘だとバレやすい。近年は、詐欺師がよく使う問答が警察による注意喚起や報道などで拡散され周知され、電話をうける側も対策を講じている。ところが、生成AIによる声や映像であれば対策を上回るスピードで、もっともらしい「なりすまし」が可能になる。