田尾と宇野。ともに背番号に特徴があった「TAO」と「UNO」が、終盤のタイトル争いで、同じように敬遠攻めに遭ったのは、偶然だろうか。
それとも「アルファベット3文字スター」の系譜を継ぐ、「NEO」の未来を予言しているのだろうか。頑張れ、根尾昂!
背番号の「美しさ」では親戚筋にあたる「FUKUDOME」は、同じくタイトル争いでジャイアンツファンから理不尽にも難癖をつけられたことがあった。福留選手が首位打者を獲得した2002年のことだ。
巨人ファンが不満だったのは、オフのメジャー移籍が決まっていた松井秀喜選手が三冠王を獲って有終の美を飾ろうとする流れのなかで、「福留が邪魔した」からだ。松井に花を持たせ、メジャーに送り出したいという日本中の願い。その“空気”を読まず、タイトルをかっさらったKYなヤツ。それが「FUKUDOME」だと。
それにしてもジャイアンツファンのこういう“巨人=太陽説”には心底辟易させられる。でも、いいんだよ。だからこそ燃えるのがドラゴンズだ。燃えよドラゴンズ!
(第9回に続く)
※『人生で残酷なことはドラゴンズに教えられた』より一部抜粋・再構成
【プロフィール】
富坂聰(とみさか・さとし)/1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授、ジャーナリスト。北京大学中文系中退。1994年、『龍の伝人たち』で21世紀国際ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。『中国の地下経済』『中国の論点』『トランプVS習近平』など、中国問題に関する著作多数。物心ついた頃から家族の影響で中日ファンに。還暦を迎え、ドラゴンズに眠る“いじられキャラ”としての潜在的ポテンシャルを伝えるという使命に目覚めた。